ロッキングテクニックは働きかけと解放
以前の記事(801書庫)「ロッキングテクニックの基本1&基本2」では、ロッキングテクニックの総論みたいなことをご紹介しました。これから徐々に具体的な領域に入っていきます。今回はロッキングテクニックの基本的な技術「脚転がし(レッグロール)」です。
解放のときに体は変わる
ロッキングテクニックは心地よく揺らすことで体を整えるボディワークです。その揺らす動きは「働きかけ」と「解放」の二つのパートで出来あがっています。「働きかけ」は揺れを作る動き、「解放」は揺れが戻る動きです。
公園のブランコを想像してください。ひとりの子どもがブランコに乗った友だちの背中を押します。これは働きかけです。ある程度押したところで力をゆるめます。するとブランコは戻ってきます。これは解放です。ロッキングテクニックはこの働きかけと解放の繰り返しです。
そして解放のとき体は変わります。それは制限から解き放たれた自由な感覚です。その自由な感覚を体は取り入れます。ここで大切なことは100%に近い解放を行うことです。戻ってくる解放の動きを途中で止めません。完全に解放が行われるまで待ちます。
「待つ」と言っても実際にはごくわずかな時間です。このとき時間を感覚的に引き伸ばします。時間だ誰にとっても同じであると同時に、感覚的にはそれを長く、または短くすることができます。ここでは感覚的に一瞬を長く引き伸ばします。
そしてロッキングテクニックはひとつの動きを数回繰り返したのちにポーズ(小休止)をとります。ポーズとは受け手にとっての感じる時間です。ロッキングテクニックではポーズをとても大切にします。
脚転がし 足のロッキングテクニック
脚転がし(レッグロール)はロッキングテクニックの代表的な技術です。仰向けになった受け手の脚に行います。この画像のように与え手は受け手の脚の横に位置します。
与え手はロッキングテクニックを行う部位の正面に立ちます。手の平を柔らかく使います。この柔らかな手のことをクラスでは「はんぺんの手(またはかしわもちのお餅の手)」と言っています。はんぺんの手を受け手の脚の正面におきます。この状態で受け手の脚を内側に転がします(働きかけ)。そのまま力を抜くと元に戻ります(解放)。この繰り返しが脚転がしです。
大切なのは脚が完全に戻ってくることを許すことです。これは先ほどの時間の引き伸ばしです。脚が完全に戻ってくるまでは、次の働きかけはしません。体はコントロール(働きかけ)から解放されたときに変化します。そのためには100%に近い解放が必要です。さきほどのブランコの例でいうならば、ブランコが完全に戻ってくるまでは次の押す動作はしないということです。
その他のロッキングテクニックのコツ
「100%の解放」以外にもロッキングテクニックのちょっとしたコツはいろいろあります。ここに項目だけをあげておきます。
- 与え手は施術部位の正面に立ちます。
- 与え手の腕が常に自由な状態であることを心がけましょう。
- 波(揺れ)を起こす部位と波を送る先の身体的なつながりを保ちます。
- 揺らす時には重さを揺らすという感覚を持ちます。
- 施術部位から手は離しません。手をおいたまま解放の動きに従います。
- 常に動きの質を探索しながら行います。
- 脚転がしでは受け手の脚の回転軸と股関節の動きを意識します
- 波が全身へ広がることを意識します。
あの感じでやってみよう
コツ、いろいろありますね。ただあまり細かなことを意識しすぎると、動きが損なわれてしまいます。そこでひとつ提案です。上手くいったときの感じやクラスのデモなどを思い出しながら「あの感じでやってみよう」とつぶやきながら行ってみましょう。上手くいくときはいつも簡単でシンプルです。
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