ロッキングテクニックの基本2

ロッキングテクニック

けん玉とロッキングテクニック

ロッキングテクニッククラス1で使用される教材の一つが「けん玉」です。日本の伝統的な玩具であるけん玉のことは、皆さんもご存知だと思います。けん玉を使うと、ロッキングテクニックの原理の学びにとても役立ちます。

その原理とは次の3つです。

1 重さを感じる

2 つながりをつくる

3 重さを揺らす

重さを感じる ロッキングテクニックは重さを感じることから始まります。

それではさっそくけん玉を使ってみましょう。けん玉の玉をぶら下げて、ゆっくりと玉を揺らします。または想像してください。そのとき何を感じるでしょうか。

揺らして感じるのは、玉の重さとその動きです。もし、けん玉の玉がピンポン玉だったらどうでしょうか。たぶん、けん玉の木製の玉のように、はっきりとした玉の重さと動きを感じることはできないでしょう。

けん玉の玉を確実に揺らすためには、玉の重さを感じることです。そして重さを感じることで、重さ(すなわち玉)の存在と動きを実感することができます。これはロッキングテクニックも同じです。ロッキングテクニックでは体の重さを感じることで、体の存在を実感し、その体の重さを揺らします。

そのために、ロッキングテクニックでは、最初に体の重さを感じることから始めます。重さを感じるとは頭で「何グラム」と計算することではありません。シンプルに重さを感じます。重さがここにあると体で感じることです。

それでは、もし重さを感じる前に揺らし始めてしまったらどうでしょうか。そのときは、受け手に揺れを伝えることができません。ただ腕が動いているだけです。

なぜなら、重さを感じなければ、重さを揺らす「対象」がわからないからです。揺らす対象を実感せずに揺らしても何も起こりません。大切なことは、はじめに体の重さを感じること、体を実感して、その重さを揺らすことです。

波を伝えるつながり

ロッキングテクニックの2つ目の原理は「つながりをつくる」です。けん玉の剣の部分から玉をぶら下げたところを想像してください。玉の重さを感じて剣で揺らす…。このとき何が必要でしょうか。

それは剣と玉をつないでいる「糸」です。この糸がどんな役割を担っているかというと、それは「つながり」です。この糸がなければ、剣と玉はつながることはできません。そしてその揺れを伝えることもできません。それを伝えるには糸が必要です。

しかし、糸があれば良いという訳ではありません。必要なのは、糸がピンと張っていることです。剣と玉をつなぐ糸がピンと張っていることで、揺れを伝えることができます。糸が緩んでいては揺れを伝えることはできません。

けん玉の場合は玉の重さ、つまり重力で糸がピンと張っていますが、これが仰向けの体で、足から全身を揺らすケースではどうでしょうか。この場合、地球の重力はそれほど役に立ちません。なぜなら体は横になっているからです。

そこで重力の代わりに、与え手が受け手の足を持ってつながりをつくることが必要になります。与え手は足を持って、足と体を一本のラインでつなげます。そのことで、足と体がつながる糸ができあがります。そして与え手は足(下肢)の重さを感じながら、その重さを揺らし、波を起こします。糸はその波を体へと、すなわち全身へと広げます。

このつながりは与え手が受け手の足を軽く引くことで生まれます。引く力はストレッチほど強くなく、足と腰、そして体がひとつのライン(線)で結ばれているというイメージです。つまりこれは「糸」です。このつながりがあることで揺れ(波)を伝えることができます。

重さを揺らす

ロッキングテクニックの原理の3つ目は「重さを揺らす」です。ロッキングテクニックでは、体を揺らして全身に波を広げます。

体を揺らすときに、体の重さを感じてその重さを揺らすのか、それとも重さを感じることなく揺らすのか…ここには大きな違いがあります。

ロッキングテクニックの与え手は、重さを感じることなく腕の力だけで、体を揺らすことも可能です。しかし、その場合の揺れは全体性を欠いた表面的な揺れとなってしまいます。

けん玉の場合も、赤い玉の重さを感じて、その重さを揺らすことで、揺れが生じます。もし赤い玉がピンポン玉だったら、どうでしょうか。重さのある赤い玉のようには揺れません。

ロッキングテクニックの揺れる動き、そして波となって広がる動きは「重さ」が生み出すものです。これは与え手の腕の力が作る動きとは異なります。揺れが重さから起こるとき、その揺れは全身へと容易に広がります。

今回はけん玉を使ってロッキングテクニックの原理をご紹介しました。それは重さを感じる、つながりをつくる、重さを揺らすの3つです。もしご家庭にけん玉がありましたら、ぜひ重さを感じつつ揺らしてみてください。

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