ロッキングテクニックの基本8

ロッキングテクニックの基本 頭と首を揺らす

頭と首のロッキングテクニック その2

前回の「基本7 頭と首のロッキングテクニックその1」では、「頭の重さを感じる」と「頭と脊柱をつなげる」のふたつの技術をご紹介しました

どちらもシンプルなテクニックですが、頭と首のところでは必ず使う技術です。しかも、わずかな工夫で頭と首のさまざまな部分へと技術の可能性を広げることができます。

基本に戻ると、ロッキングテクニックは体を揺らす技術です。具体的には、体の「重さ」を揺らします。ロッキングテクニックは体の重さを揺らす技術であり、頭に働きかける場合も、頭の重さを感じることから始まります。

前回の繰り返しとなりますが、頭も首もとても繊細な領域です。もちろん体の全てが繊細ですが、特に頭と首には特別な配慮が必要です。無理をせず、受け手の体の動きと柔軟性に従うようにしてください。

通常、頭と首に本格的に働きかけるのはセッションの後半になります。多くの場合、セッションの前半で、手足からの揺れが頭と首にも広がり、ある程度、頭と首は緩み、リラックスした状態になっているでしょう。

そして、硬い首ほど、小さな動きと多くのポーズが必要であることを忘れないようにしましょう。初めての方については、ロッキングテクニックのクラスで指導を受けながら学ぶことをお勧めします。

頭を転がすとは?

ロッキングテクニックでは「頭転がし」または「ヘッドロール」と呼ばれる技術です。最初に行うのは、シンプルに両手のひらのなかで頭を転がす基本的な練習です。これは、手でつくったカゴの中を頭がゆっくりと転がるという練習です。

その前に確認しましょう。仰向けで頭が転がるとは? 立位(立った状態)での頭の動きの違いは何でしょうか。

それは仰向け場合、床(マッサージテーブル)が存在するため、後ろの空間を利用できないことです。仰向けと立位では動きの軸が変わります。

その結果、仰向けでは頭は床の面に沿って転がることになります。その動きは、受け手の顎先は本人の肩先に近づく動きです。

一方、立位の状態で頭を左右に動かす場合、体の正中線(中心線)を軸に、視線を同じ高さに保ったまま頭を左右に動かすことになります。これは仰向けの場合とは違います。仰向けで同じ動きを行うと首に無理が加わるのがわかります。

そのため、仰向けで頭を左右に動かすときには、頭を床につけたまま、床の上を転がるように動くことが、首にとって自然な動きであることがわかります。「頭転がし(ヘッドロール)」のときも同じ動きとなります。

基本練習 手のカゴの中で頭を転がす

最初の練習は、手のカゴの中で頭を転がします。この技術は「頭転がし(ヘッドロール)」の基本形であり、頭と首のテクニックの基本練習となります。

それでは、基本練習に入りましょう。受け手は仰向けの姿勢です。与え手は受け手の頭のところで、足方を向いた位置です。与え手は立位またはマッサージテーブルに座ります。最初は手のカゴを使用せず、頭が転がるという動きを確認しましょう。

受け手の頭の一部に触れて、ゆっくりとマッサージテーブル上を転がします。受け手の顎が肩先に近づくように転がれば上手くいっています。受け手がこの動きを無理なく安全に感じることを確認してください。

ロッキングテクニック 手のカゴ

次に、この動きを両手を入れて行います。参考画像「手のカゴ」のように、両手の指を大きく広げ、受け手の頭の後ろに手を差し入れます。まるで手で作ったカゴに頭が収まっているかのようです。

この状態で、手のカゴのなかで頭を転がします。頭の重さで転がる感覚を味わってください。コツは、全身で行うことです。手や腕だけでこの動きを作らないようにしましょう。ここでも「手になるべく仕事をさせない」というボディワークの原則が活かされます。さらに、手のひらを受け手の頭に密着させすぎないように注意してください。密着しすぎると、頭が転がるスペースが制約されてしまいます。

動きの質は、最初に頭の一部に触れてテーブル上を転がした時と同じです。ただし、今回は頭の下に手で作ったカゴがあるだけです。そして、何度もポーズ(小休止)を取ることが大切です。これまでの動きをまとめること、次のようになります。

  • 最初に頭の重さを感じる
  • 動きはゆっくりと始める(探索の動き)
  • 手のカゴの中を頭の重さが転がること
  • 動きをコントロールしようとせず、重さに従うこと
  • 手の平が受け手の頭に近づきすぎていないか確認すること
  • 与え手は全身で関わること
  • 3、4回転がしたらポーズを取ること
  • 常に受け手に意識を向け、必要ならば静かに動きを止めること
  • 必要であれば声をかけて安全を確認すること

いかがでしょうか。文章で説明すると、少々ややこしいのですが、実際に行うことはとてもシンプルで、受け手にとって無理のない、自然な動きです。この基本練習の「手のカゴのなかで頭を転がす」を十分に行ってください。

習得できると、ここから様々な頭と首のアプローチ法が生まれます。初めての方には「ロッキングテクニッククラス1」の受講をお勧めします。講師の指導のもとで、丁寧に学ぶことができます。

頭を小さく揺らすロッキングテクニック

二つ目の「頭と首へのアプローチ」はものすごくシンプルです。本当に首がコチコチに硬い場合は、これだけで充分です。

受け手は仰向けです。与え手は受け手の頭のところで、足方を向いて位置します。左右の手指を頭の側面に添えます。この状態で、手指を使って頭を小さく、軽く揺らします。

本当に小さい動きです。まるで小さな綿(わた)の玉が軽く当たっているような感じです。そして、ポーズを何度もとります。

見ているとほんのわずかな動きに見えますが、実際に受けてみると小さな動きが全身に響いていることがわかります。ポーズをとると、微細な波が全身に広がり、心地よい感覚です。

いかがでしょうか。今回は「頭と首のロッキングテクニック その2」として、二つの技術を紹介しました。頭の重さを感じてみてください。それでは。

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