頭と首のロッキングテクニック その2
前回の「頭と首のロッキングテクニックその1」では、「頭の重さを感じる」と「頭と脊柱をつなげる」のふたつをご紹介しました。どちらもシンプルですが、頭と首のところでは必ず使う技術です。しかも、わずかな工夫で頭と首のさまざまな部分へとアプローチが広がります。
基本に戻ると、ロッキングテクニックとは体を揺らす技術です。それでは体の「何」を揺らすのかというと、それは「重さ」です。ロッキングテクニックとは体の重さを揺らす技術です。そこで頭にはたらきかけるときも、頭の重さを感じることから始まります。
前回の繰り返しとなりますが、頭も首もとても繊細な領域です。もちろん体の全てが繊細ですが、特に頭と首には配慮が必要です。無理をせず、受け手の体の動きと弾力にしたがってください。
通常、頭と首に本格的にはたらきかけるのはセッションの後半です。多くの場合、前半からの手足からの揺れが頭と首にも広がり、ある程度は頭と首は緩み、くつろいだ状態になっていると思います。
そして固い首ほど、小さな動きとたくさんのポーズが必要なことを思い出しましょう。これはお願いですが、初めての方はロッキングテクニッククラスで指導を受けながら学ぶことをお勧めします。
頭を転がすとは?
ボディワークの世界では「頭転がし」または「ヘッドロール」と呼ばれている技術です。最初に行うのは、シンプルに両手の平のなかで頭を転がすという基本練習です。これは手でつくったカゴの中を頭がゆっくりと転がるという練習です。
その前に確認しましょう。仰向けで頭が転がるとは? 立位(立った状態)とのちがいは何か。
受け手が仰向けの状態で頭を左右に動かす時と、立った状態で頭を左右に動かす時のちがいは何でしょうか。それは仰向けでは、床(マッサージテーブル)があるので、後ろの空間を使うことができないことです。
その結果、仰向けでは頭は床の面に沿って転がります。その動きは、受け手の顎先が本人の肩先に近づく動きになります。
立位の状態で頭を左右に動かすときは、体の正中線(中心線)を軸に、視線を同じ高さに置いたまま頭を左右に動かすことになります。立位のときはこの方法で構わないのですが、仰向けで同じ動きを行うと首に無理が加わるのがわかります。
そのため、仰向けで頭を左右に動かすときには、頭を床につけたまま、床の上を転がるように動くことが首にとって自然な動きであることがわかります。頭転がし(ヘッドロール)のときも同じ動きとなります。
基本練習 手のカゴのなかで頭を転がす
最初の練習は手のカゴのなかで頭を転がします。この技術は「頭転がし(ヘッドロール)」の原型であり、頭と首の技術の基本練習でもあります。
それでは基本練習に入りましょう。受け手は仰向けです。与え手は受け手の頭のところで、足方を向いて位置します。最初は、手のカゴは無しで、頭が転がるという動きを確認しましょう。
受け手の頭の一部に触れてゆっくりとマッサージテーブル上を転がしてみます。顎が肩先に近づくように転がればうまくいっています。今の動きが、受け手の方にとっても楽な動きであることを確認してください。

参考画像 手のかご
次はこの動きを両手を入れて行います。参考画像「手のかご」のように、両手の指を大きく開いて、受け手の頭の後方に差し入れます。ちょうど手指で作ったカゴに頭をおさめるような感じです。
この状態で、手指のカゴのなかで頭を転がします。頭の重さで転がることを感じてください。コツは全身で行うことです。手や腕だけでこの動きを作らないことです。「手になるべく仕事をさせない」というボディワークのコツがここでも活きています。また、手の平を受け手の頭にピタッとつけないことも必要です。ピタッと近づきすぎると、頭が転がるスペースがなくなってしまいます。
動きの質は、最初に頭の一部に触れてテーブル上を転がしたことと同じです。ただ、今回は頭の下に手指で作ったカゴが入っているだけです。そして何度もポーズ(小休止)を取ることが大切です。まとめることこんな感じです。
- 最初は頭の重さを感じる
- 動きはゆっくりと始める(探索の動き)
- 手のカゴの中を頭の重さが転がること
- 動きをコントロールしようとせず重さに従うこと
- 手の平が受け手の頭に近づきすぎていないだろうか。
- 与え手は全身で関わること
- 3、4回転がしたらポーズを取ること
- 常に受け手に意識を向け、必要ならば静かに動きを止めること
- 必要であれば声をかけて安全を確認すること
いかがでしょうか。文章で説明すると、少々ややこしいのですが、行うことはとてもシンプルで、受け手にとっても無理のない、自然な動きです。この「手のカゴのなかで頭を転がす」という基本練習を十分に行ってください。
習得できると、ここから様々な頭と首のアプローチ法が生まれます。初めての方はロッキングテクニッククラス1の受講をお勧めします。講師の指導のもとで丁寧に学ぶことができます。
頭を小さく揺らす
二つ目の「頭と首へのアプローチ」はものすごくシンプルです。本当に首がコチコチに固い方はこれだけで十分です。
受け手は仰向けです。与え手は受け手の頭のところで、足方を向いて位置します。左右の手指を頭の側面に添えます。この状態で、手指を使って頭を小さく、軽く揺らします。
本当に小さい動きです。まるで小さな綿(わた)の玉が軽く当たっているような感じです。そしてポーズを何度もとります。
見ているとほんのわずかな動きですが、実際に受けてみると小さな動きが全身に響きます。ポーズをとると、小さな波が全身に広がって心地よいです。
いかがでしょうか。今回は頭と首のロッキングテクニック その2として、二つの技術をご紹介しました。頭の重さを感じてみてください。それでは
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