頭と首のロッキングテクニック その1
今回は頭と首のロッキングテクニックです。頭と首といってもふたつは一緒に動くのでセットでご紹介します。今回の「頭と首のロッキングテクニック その1」と次回(基本8)の「頭と首のロッキングテクニック その2」を合わせてご覧ください。
始める前の前提
最初に、ちょっとした「前提」をご紹介します。
その1 手足や体を揺らすことで、すでに頭も首も緩んでいる
標準的なロッキングテクニックのセッションの進み方でいえば、頭と首は最後に行うことが多いです。そもそもロッキングテクニックは全身に波を広げる技術なので、直接に頭や首に触れなくても、手足や体から頭と首に波が伝わっています。そのため頭と首に直接に触れなくても、すでに十分に緩んでいることがしばしばあります。
その2 首がコチコチに固い人ほど小さな動きで行う
首も含めて、体が固い人は揺れ(波)の幅が小さいことが特徴です。無理に大きく揺らしてもあまり良いことはありません。体に余分な負担がかかってしまいます。そのため、首が固い人ほど小さな動きで行います。
もちろんロッキングのテクニックには首を大きく揺らす技術もたくさんありますが、無理なく大きく揺らすことができる人の体は、実は柔らかいのです。つまり、柔らかい首だからこそ、大きく揺らすことができるというわけです。本当に首が固くて、このワークが必要な人は、小さく動かすことから始めます。
頭と首へのアプローチ
その1 頭の重さを感じる、頭を重力から解放する
最初の技術はすごく簡単です。簡単ですが、とても役立つ技術です。与え手は、仰向けの受け手の頭のところで、足方を向いて位置します。
そのまま両手で後頭部に触れ、そこから頭の重さを感じるように頭を持ち上げます。このとき与え手は腕の力ではなく、全身の動きから持ち上げることがコツです。
このとき、頭の重さのことを考えなくても良いです。ただ重さを感じることです。重さを感じたら、そのまま重さと共に元の位置に戻します。そして完全に手を離し、ポーズ(小休止)をとります。この技術は長い時間をかけません。ゆっくりですが、ひと呼吸で行ってください。
この技術は受け手の「頭の重さを支える」というアプローチです。なぜ「頭の重さを支える」のかというと、これは受け手の体から「頭の重さを支える役目」を解放するために行います。体はいつも頭を支えています。直立しているときはもちろんですが、寝ているときですら、頭がそこにあるように支えています。
与え手が「頭の重さを支える」ことは、体からその役目を一時的に解放することです。解放された体は、中立の状態に戻ります。そうなると、頭が再び戻ってきても、中立の状態で頭を支えることができます。
私たちは普段の生活で常に頭を支え続けています。すると、いつのまにか偏りの状態が起きてしまうので、それを「頭の重さを支える」ことでリセットします。これは簡単な技術ですが、とても効果的です。
その2 頭と脊柱をつなげる
これはロッキングテクニックというよりは、揺らすことなく頭と脊柱とのつながりを目覚めさせるためのものです。受け手は仰向けです。与え手は受け手の頭の位置で、受け手の足方を向きます。
両手の平を受け手の首の後方に差し入れます。このとき最も手を入れやすい場所から手を入れてください。つまり受け手にとって負担のないところから始めます。
次に両手の平を受け手の後頚部に密着させ、そのまま頚椎の湾曲に対して、垂直方向に持ち上げます。持ち上げる幅はわずかで、触れている部分とそこから下の脊柱とのつながりを感じる程度です。
つながりを確認したら、そのつながりを保ったまま、与え手の体はわずかに後方に傾きます。そうすることでつながりの量を増やします。これはストレッチではありません。それよりも小さな動きです。
この動きが安全であることを確認したら、これを何度か繰り返します。2、3回行ったら必ずポーズをとり、受け手に感じる時間を与えてください。このとき「どんな感じですか?」と声をかけて受け手からのフィードバックをもらいます。つながり感が仙骨や下肢まで広がることもあります。
この技術は頭と脊柱とのつながりの感覚を目覚めさせ、そのつながり感を思い出すための技術です。大切なことは決して無理をしないことです。経験のない方は、必ず経験のある指導者の元で指導を受けてください。
今回は頭と首の技術を紹介しました。次回の「頭と首のロッキングテクニック その2」もご覧ください。それでは。
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