ロッキングテクニックの基本4

ロッキングテクニック

 

触れることと探索すること

 

触れること」はマッサージやボディワークの基本です。これは体への働きかけの最初の部分といってよいでしょう。すこし、きびしい言い方をすれば触れることは技術以前の技術です。この「技術以前の技術」という表現は、触れることは技術の土台であり、触れることに意識が向かないまま、その上に技術を重ねても、技術そのものの質は高まらないということです。

触れることの大切さはロッキングテクニックの場合でも同じです。体を揺らして波を送るとき、その触れ方は揺らすことの質にそのままつながります。

ロッキングテクニックはもともとソフトな技術ですが、受け手に「揺らす」という動きを働きかけるので、その点では能動的な技術ということもできます。そのため、技術の最初の部分である「触れること」の質がロッキングテクニックの印象を大きく左右します。

ロッキングテクニックのクラスでは、「触れること」、すなわちどのように揺らし始めるかを「探索する」という表現で伝えています。探索するとは未知のものに触れて、その様子や状態、その可能性を探し求めることです。今回の「ロッキングテクニック 基本4」では「探索する」ことについてご説明します。

 

探索の技術化 3つの「すること」

 

それでは「探索する」とは具体的にどのようなことを行うのでしょうか。それは3つの「すること」と1つの「しないこと」があります。3つの「すること」は次のことです。

 

小さな動きから始める

ゆっくり行なう

好奇心を持つ

 

受け手の体を未知のものと想定して、それがどんなものかと、じっくりと探索するために、最初はわずかに小さく動かします。小さく動かしながら、受け手の体の反応を探り、新たな抵抗が生じないならば、徐々に動きを大きくし、さらに受け手の体の弾力に「ノリ」ます。この「小さな動きから始める」ことはとても大切なことです。

 

二つ目は「ゆっくり行う」です。早い動きは受け手の抵抗を引き出す可能性があります。そのため最初の動作はゆっくり行います。それでは「ゆっくり」とは具体的にはどの程度の速さなのでしょうか。それは受け手の呼吸速度リズムです。多くの場合、人間は自分の呼吸の速度よりも早い動きを「早い」と感じ、自分の呼吸よりも遅い動きを「遅い」と感じます。つまり技術の速度とは相対的なものです。そこで最初は受け手の呼吸よりもやや遅めの動きで関わります。

 

三つ目は「好奇心を持つ」ことです。これはすべての技術に有効なことですが、「何だろう?」、「もっとよく知りたい」という好奇心は、技術精度質の高まりを加えます。好奇心を別の言い方をすれば、それは「問い」です。「問い」を持つことで、技術に言葉では表現できない細かな動きを加えます。

 

説明が長く続きましたが、実際にはとてもシンプルです。小さく、ゆっくり、好奇心を持つことは、そんなにむずかしいことではありません。「何だろう?」と問いかけながら、行えば良いのです。そして様子がわかったら、その様子をもとにロッキングテクニックの大きさを合わせて波を送ります。

 

ポーズ ひとつの「しないこと」

 

今回、最後にご紹介することは「ポーズ(小休止)」です。これは「しないことの技術」です。ロッキングテクニックでは数回揺らしたら、受け手の体から手を離し、一歩引いてポーズをとります。ポーズとは何もしない「間(ま)」です。その時間は1、2秒の時もあれば、十数秒、それ以上の時もあります。

 

ポーズをとる目的は受け手に感じる時間を与えるためです。体は感じることで変わります。ポーズをとって波が全身に広がるのを待ちます。これは響きの時間です。その間に受け手は波の響き、余韻を感じます。このポーズをとることで、ロッキングテクニックの効果は何倍にも広がります。

 

ポーズのもうひとつの利点は、与え手(施術者)の体のリラックス&リセットです。わずかな時間であっても、フッと体の力を抜き、元の体に戻ることで、次の瞬間からまた新しい体で受け手と関わることができます。つまりポーズの時間とは、受け手と与え手の両者のためのものです。これはロッキングテクニックだけなく、オイルマッサージの際にも有効です。

 

やってみましょう

 

今回、紹介したことはとてもシンプルなことです。このとてもシンプルなことが技術全体の質に関わります。これは最初に取り上げた「触れること」すなわち「技術以前の技術」の領域といえるでしょう。

 

「触れること」の質を高めるためにはいくつもの方法がありますが、小さく、ゆっくり、好奇心を持って触れることはロッキングテクニックの場合は特に有効です。そして数回揺らしたらポーズをとります。この小さく、ゆっくり、好奇心を持つことは、常に技術の初めに行います。これはセッション全体の始めではなく、技術ごとの始まり、その都度行います。

 

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