波を送るロッキングテクニック
ロッキングテクニックは心地良い揺れを通して、全身にリラクセーションと調和をもたらすボディワークです。このテクニックはとても扱いやすくて、ロッキングテクニックだけで全身のセッションを行うことはもちろんのこと、いろいろなスタイルのオイルマッサージにも組み入れることができます。また受け手がTシャツなどを着たままの状態でも施術できます。
「力を使わなくても良いのですね。」これは以前にロッキングテクニッククラスを受講された方の感想です。そうです。ロッキングテクニックでは、与え手が強い力を使うことはほとんどありません。その理由は、ロッキングテクニックでは、体の固さと戦う必要がないからです。
与え手が体に触れ、そこから全身を揺らします。「揺らす」と表現しましたが、技術的な視点で表現をするならば「波を送る」を言うべきでしょう。ロッキングテクニックは、「体に波を送るボディワーク」と言った方が、技術の質をより的確にあらわします。
ロッキングテクニックでリラックスする理由は?
それでは、なぜ波を送ると体はリラックスするのでしょうか? その理由のひとつは、私たちの体の約60%は液体であるという事実です。水は流動的であり、つながりを持ち、やわらかく形を変えて、流れることができます。人体には、リンパ液や血液だけでなく筋肉、内臓、骨、体のすべてに水分が必要です。つまり水は全身に広がっています。やわらかさ、滑らかさ、つながり、循環、弾力性は、すべて水がもたらすものです。
そして水には、外部からの《影響》を受け入れる性質があります。さまざまな影響を受け取った水は、その影響に応じて質を変えます。サラサラとした柔らかな水もあれば、粘土のような固さを持った水にもなります。水の質の変化は、一時的なものであれば問題はありませんが、体は一時の変化を記憶し、体の性質として定着させることもあります。もしその影響が固さを伴うものであれば、体は固さを記憶してしまいます。
そこで、ロッキングテクニックではその体に波を送ります。波が広がるように体に働きかけます。実は波が伝わるという動き自体が、すでに水の性質をあらわしています。小さな波から大きな波まで、さまざまな方向から波を送ります。波が自在に広がるほど体は水の質を取り戻します。これは体の興味深い特性です。体は経験を記憶し、それを体の機能として取り入れようとする性質があります。しかも、その経験が心地よいものであれば、体はその心地よさをどんどん取り入れていくのです。
体に波を送る方法
体に波を送るためにはいくつかの工夫が必要です。代表的な3つをご紹介します。
その1 重さを感じる
波を送るために揺らします。何を揺らすのかというと《体の重さ》です。そのため波を送るときには、最初に体の重さを感じることが必要です。
その2 つながりをつくる
波を送るためにはその導線をつくる必要があります。この導線をつくることをロッキングテクニックでは《つながりをつくる》を言います。与え手が手を置いたところから波を送る先までを1つの線としてまとめます。まとめる方法はいくつかありますが、ひとつは軽く引いてひとつの導線としてまとめる方法です。これはストレッチほど強くなく、伸ばすというよりも1本の線としてまとめて、つながりをつくるという感覚です。
その3 重さを揺らす
ロッキングテクニックでは体を揺らして、全身に波を送ります。この時に大切なことは、その1の体の《重さを感じる》ことです。そして実際に揺らすのは、体の重さです。重さは《波=動き》をつくり、波は導線であるつながりから全身へと広がります。
弾力に従う
波には大きさがあります。その波は、受け手の体の弾力によって大きさが変わります。結論から言えば、やわらかく弾力のある体ほど大きな波になり、弾力のない体、つまり固い体ほど小さな波になります。固い体は小さくしか動きません。
そもそも水には、流れる性質や容器の形の応じる性質、水滴のようにひとつにまとまる性質があります。そして、水はあらゆるものを溶かしこみ、受け入れて《受容性》、その質感すらも変化させる性質があります。粘度が増した水は、粘土のような固さを感じます。そこに波を送るためには、固さに応じた波の大きさを調整する必要があります。
ロッキングテクニックでは弾力のない固い体ほど小さな波になります。小さい波だからこそ、固い体に入り込むことができます。小さな波から始めて、体が水の質を思い出すにしたがって、波をゆったりと大きなものにしていきます。このようにロッキングテクニックでは、体を揺らして、波を送り、全身を整え、調和して、深いリラクセーションをもたらします。
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