老いの恩恵 その4 改訂版

バイオグラフィーワーク 老いの恩恵

身体の衰えと魂の輝き

ミック・ジャガーは80歳

先日、ローリングストーンズが新しいアルバムを発表したという記事中に、「ミック・ジャガーは80歳」とあってびっくりしました。それなりの年齢にはなっているだろうと思っていましたが、80歳とは驚きです。これは親戚のおじいちゃんは80歳だけど、またカクシャクとしていて…というのとは訳が違います。

そんな話を聞くと60代半ばで「老いの恩恵」などと言っていると鼻で笑われてしまいそうです。ミックはそんな人ではないと思いますが。

ローリングストーンズといえばかつては「不良バンド」の代表のようで、初期のころは彼らもそれなりだったようです。ただ、ある時期から「不良」はパブリックイメージに留め、本人たちは徐々に意識を変えていったという話を聞いたことがあります。特にミック・ジャガーはその傾向が明らかで「ミック・ジャガー アンチエイジング」でネット検索すると、たくさんの記事を目にすることができます。

しかし、今回のニューアルバムのプロモーション動画ではレディ・ガガと一緒に飛んだり跳ねたりしていますから、本当にすごいです。

魂と霊性について

これまでの「老いの恩恵」では、体と心という表現をしてきました。今回はそれを身体・魂・霊(そして霊性)としてみます。これはルドルフ・シュタイナーの人間の3つの構成要素という考えに沿っています。

身体はこの肉体です。実際に目にすること、触れることができる体そのものです。魂と霊性は見ることはできませんが、その表れ方や作用は実感することができます。たとえば感情のアップダウンや好き嫌いは魂の領域でしょう。

霊という表現はすこし難しいのですが、可能であれば「根源的な宇宙の叡智」と表現してもいいかもしれません。それが個人に関わると、たとえば偉人伝などを読んだときに感じる生き方の気高さなどは、その人物の霊性を表していると言えるでしょう。

そのような意味では、魂は本能や身体的な衝動、対人関係など、つまり地上的な部分とのつながりが強く、成長するにしたがって他者に対する共感力や「自分(私)」という地に足を着けた感覚や考え方が身についてくるのだと思います。

魂の輝き

魂の存在は目では見ることはできませんが、その働きは知ることができます。魂そのものは個人の内面世界で展開し、幼い魂は地上生活、社会生活での経験を経て、成熟した魂へと成長します。

それに対して霊性は、魂よりも地上的な部分から独立した精神的な要素です。一個人よりも人類全体という普遍的な領域にあるように思えます。たとえばアフリカでの医療活動で知られるアルベルト・シュヴァイツァーや三つの身体障害を乗り越えたヘレン・ケラーの生き方には普遍的な精神性、すなわち霊性を感じます。

魂と霊(そして霊性)を別々に説明しましたが、この二つは密接な繋がりを持っていて、魂は地上的な経験を重ねることで、個人を超えた普遍的な真理・霊性へとつながるでしょうし、また霊性は普遍的な立場から魂を導くことでしょう。

そしてここで明らかにしたいことは、霊、そして霊性は老いることはないということです。魂は場合によっては、身体の老いに引きずられるように老いる可能性があります。ここには前回の「老いの恩恵 その3 改訂版」で取り上げた42歳前後からの3つの可能性が参考になります。

今回、冒頭にローリングストーンズのミック・ジャガーのことを取り上げました。なぜかというと、たぶんミックも人生のどこかで、身体の老いに気づき、身体とともに老いるのか、それとも別の生き方をするのか、という選択をしたのかもと思ったからです。

選択をしたからこそ、今の姿があるのだと思います。だからと言って、誰もが飛んだり跳ねたりする必要はなく、自分らしい魂の輝き、霊性のあらわれであれば良いと思います。

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