日常が揺さぶられた体験

バイオグラフィーワーク 第4・七年期
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これからどうやって生きていこう

大学4年になったころ、「企業は無理だな」と思っていました。就活もしませんでした。そんなわけで、卒業しても、しばらくぶらぶらしていました。


しかし、働かないことには生活できないので、ちょっとした縁から図書館に勤めることになりました。このことは以前にも取り上げたことがあります。


図書館で働きながら「これからどうやって生きていこう」「何をしようかな」と思っていました。


何か面白そうなことはないかなと、ときどき西荻窪にあったほびっと村に行って、いろいろな講座に参加していました。そんなある日、そこで知り合った友人宅に遊びにいくことになりました。

友だちの家で出会ったもの

昭和風な立派な家でした。ところが、玄関からリビングに向かう途中の一室で「おっ!」と思うものを目にしました。

それは、子どもの背丈、いやそれ以上に高く積み上げられたレジ袋の山です。2枚や3枚ならともかく、何十枚ものレジ袋が山のように積み重なっていました。ちょっとしたオブジェです。

友人に「何これ」と聞いたところ「買い物のあと、いつもここに置いている」とのことでした。

僕は「ふーん」と言って、そしらぬ顔をして、あとは普通に会話をしました。そしてしばらくして、それじゃあ、と言って帰りました。

普通の生活のなかにある「変」

帰り道「大変なものを見たなー」と思いました。もちろんレジ袋の山です。普通の生活のなかにある「変」、日常の生活で常識を揺さぶられた…という感じです。

あのころ、学生の頃も含めて、常識を揺さぶられる体験はありました。しかし、どれも音楽や演劇、芸術、あるいは悪ふざけといった特別な空間、作られた体験でした。

ところが、レジ袋の山は、日常のなかにある「変」、普通の人の普通の生活のなかにある非日常的体験でした。冒険に満ちた人生を送っている人ならば、たいしたことはないと思いますが、僕のような人間にとってはちょっとした驚きでした。

画像はその場面を描いたものです。24歳ごろだと思います。バイオグラフィーワークの「第4・七年期 世界との出会い」というテーマの時に描きました。

第4・七年期とは

第4・七年期というのは、シュタイナーの七年周期の4番目にあたる七年期です。

第4・七年期のアーキタイプは《関係性》です。アーキタイプ(元型)というのは、その七年期の内的な質を示す鋳型のようなものです。

第4・七年期の《関係性》というのは、それ以前の3つの七年期(21年間)の間に、育んだ身体をもとに、第4・七年期からは社会に出て、今後は魂=人間性を育てよう!、そしてそのための関係性を広めていこう、というような意味があります。

この関係性というのは人であり、場所であり、世界でもあります。生まれ育った環境から、新しい世界に進み出て、経験を重ねて、人間性を育てる、という時期が第4・七年期、21歳から始まります。

僕が新しく出会った世界とは

レジ袋の体験をしたのは24歳です。

もう第4・七年期です。ここで僕は常識を揺さぶられる体験をしました。日常生活の中での「変」との出会いです。

その当時は、「なんだありゃ?」といった感じでしたが、ちょうどその頃からもう図書館をやめようと思っていました。

そして次の選択肢として鍼灸学校に行ってみよう、と思い始めたのです。

鍼灸学校にいくことが「変」な体験とは思いませんが、レジ袋の体験から常識が揺さぶられ、いい意味で視野が広がったのかもしれません。

それまでの僕は、鍼治療を受けたこともなく、指圧やマッサージの体験もほとんど皆無だっからです。でも、この新しい選択、鍼灸学校へと進んだことから、僕の世界はガラリと変わり始めました。

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